私は漢方治療の上で食事の養生を大切にしています。その理由は、臨床経験に基づくものも多くあります。

病を改善しようとする時、全ての方ではないですが、食生活の改善をしていただかなければ改善へと向かわないという方もいます。食事の不摂生によって胃腸が傷つき、病の根幹を成している方もみえます。東洋医学では消化機能を「土」に例えます。

良い胃腸とは、良い「土」。良い土とは健康的な野菜がすくすくと育つ土です。まず大切なのは、土にまく栄養=食事の内容です。栄養を培っているのは、私たちが口に入れている食事です。食事による栄養は、それを吸収することであらゆる臓器を健やかに保っています。とくに消化管は、直に食事を受け入れている場所です。良い胃腸であるためには、まずは食事の内容を見直す必要があります。何を食べれば良いのかではありません。

良い食事とは、偏りのない、バランスの取れた食事を指します。旬の食材で、和食を中心に普通に食べていれば、そこまで気を付けることなく達成できます。様々な食にあふれた現代には食べない方がよいものもあります。胃腸は「土」であり、「畑」です。胃腸はからだ全体に影響を及ぼす要所です。病になった時、胃腸を立て直す手法が、もっとも効率的な治療方法になることがとても多いです。診察で、私が養生の話をすることがありますがそのくらい漢方治療には必要なことだと思っていただきたいと思います。